
Wi-Fiの種類は結構あるけど、現行でiPhoneや速度の対応がなんだったかがわからないっていう質問が多いので、まとめておきました。
Wi-Fi規格 | 年 | iPhone/MacBook搭載Wi-Fi | 最大理論速度 | 周波数帯 | 主な特徴 |
---|---|---|---|---|---|
802.11a | 1999 | – | 54 Mbps | 5 GHz | 干渉が少ない5 GHz帯を使用。ただし壁を通過しにくく、カバレッジが限定的。 |
802.11b | – | 11 Mbps | 2.4 GHz | 初期の普及規格で、低速だが広い範囲をカバー。電子レンジやBluetoothなどと干渉する可能性あり。 | |
802.11g | 2003 | – | 54 Mbps | 2.4 GHz | 802.11bと互換性があり、速度が向上。干渉の影響は依然として存在。 |
Wi-Fi 4/802.11n | 2009 | 600 Mbps | 2.4/5 GHz | MIMO技術を導入し、複数のアンテナを使用して高速化。幅広いカバレッジと高速性を両立。 | |
Wi-Fi 5/802.11ac | 2013 | iPhone 6〜 | 1-6.9 Gbps | 5 GHz | MU-MIMO対応で複数デバイスの同時接続が高速。高速で大容量データ転送に適している。 |
Wi-Fi 6/802.11ax | 2019 | iPhone 11〜 MacBook Air (M1/M2) MacBook Pro (M1/M2) | 9.6 Gbps | 2.4/5 GHz | OFDMA技術で効率的な通信を実現。混雑した環境でもパフォーマンスを発揮。 |
Wi-Fi 6E/802.11ax | 2020 | iPhone 15 Pro〜 MacBook Air (M3) MacBook Pro (M3) | 9.6 Gbps | 2.4/5/6 GHz | Wi-Fi 6の特徴に加え、6 GHz帯のサポートにより干渉が少なく、より広いチャネル |
Wi-Fi 7/802.11be | 2024 | iPhone 16〜 | 46 Gbps | 2.4/5/6 GHz | 速度と効率性が重点にした規格。320MHzのチャネル幅、4096-QAM、マルチリンクオペレーション(MLO)で高速通信を実現。 |
Wi-Fi 8/802.11bn | 2028 | ? | 目標 100 Gbps | 2.4/5/6 GHz 42.5~71 GHz | Ultra High Reliability(UHR)とも呼ばれている。「通信の確実性」を高める方向へ進化することで、高密度環境や公共スペースでの利用が期待されている。 |
Wi-Fi 5という名称は、Wi-Fi Alliance が Wi-Fi 世代の簡略化された名称を導入した際に決められたもので、それ以前の規格(802.11acより前)は、主に技術規格番号(例: 802.11n、802.11g)で呼ばれていました。
Wi-Fi 7の理論上の最大速度の条件
Wi-Fi 7の理論上の最大速度である46Gbpsを達成するには、以下の条件が必要です:
- 320 MHzのチャネル幅:
- Wi-Fi 7は従来の160 MHzの2倍の帯域幅で動作可能です。
- MIMOの高構成(例:8×8 MIMO):
- 多くのアンテナでデータを同時に送受信する必要があります。
- 4096-QAM(高密度変調):
- データの圧縮・復元効率を上げる技術です。
OFDMA (Orthogonal Frequency Division Multiple Access):
- OFDMAは、Wi-Fiの信号をより効率的に使う技術です。これは、Wi-Fiの信号を小さなチャンク(区切り)に分割し、複数のデバイスが同時に通信できるようにします。
- Wi-Fi信号は、空中で伝えられる情報の束のようなものです。OFDMAはその束をさらに小さな小包に分け、たくさんの友達が同時にWi-Fiを使えるようにします。これにより、Wi-Fiの速度が速くなり、多くの人が同時にインターネットを楽しめます。
MU-MIMO (Multi-User, Multiple Input, Multiple Output):
- MU-MIMOは、Wi-Fiルーターが同時に複数のデバイスと通信できる技術です。
- これを考えると、Wi-Fiルーターが多くのアンテナを持っていて、それぞれが別々のデバイスと話すことができるようなものです。これにより、複数のデバイスが同時に速いWi-Fi接続を楽しむことができます。
4096-QAM (Quadrature Amplitude Modulation):
- QAMは、信号の振幅(Amplitude)と位相(Phase)の両方を変化させて情報を送信する変調方式です。これにより、単一の信号に多くのデータを重ねることが可能になります。
- 4096-QAMは、1つの信号で12ビットのデータ(212=4096通りのシンボル)を表現可能。前世代の256-QAM(8ビット、28=256通り)に比べ、データ密度が大幅に向上。
- Wi-Fi 7や5Gのような最新の通信技術では、4096-QAMの変調方式を利用することで通信性能が大きく向上しています。しかしSNR(Signal-to-Noise Ratio:高密度のため信号対雑音比)が非常に高い環境が必要。
iPhone16シリーズ帯域幅の制限がある
iPhone 16シリーズ(iPhone 16、iPhone 16 Plus、iPhone 16 Pro、iPhone 16 Pro Max 2024年発売)に搭載されているWi-Fi 7は、2×2 MIMO対応Wi‑Fi 7(802.11be)と製品ページに記載されてます。これは、同時に送受信できるストリームが2つに限定されるため、フル性能の8×8 MIMO構成と比べて速度が1/4程度に制約されます。
結果 実際の理論最大速度は約11.5Gbps(46Gbps ÷ 4)程度になります。
iPhone 16が320 MHz幅に対応している場合でも、2×2 MIMOの制約により速度の恩恵は限定的です。
なお上述の通り8×8 MIMO対応Wi-Fi 7は従来の160 MHzの2倍の帯域幅320 MHzのチャネル幅で動作可能することで本領発揮ができるのです。
https://www.apple.com/jp/iphone-16-pro/specs
https://www.apple.com/jp/iphone-16/specs
有線と無線で迷う場合
項目 | Thunderbolt 3 | Thunderbolt 4 | Thunderbolt 5 | Wi-Fi 7 |
---|---|---|---|---|
理論最大速度 | 40Gbps | 40Gbps | 80Gbps(最大120Gbps) | 46Gbps |
実効速度 | 高い(ほぼ理論値に近い) | 非常に高い(理論値に近い) | 理論値より低下する場合が多い | |
接続の安定性 | 非常に高い(有線接続) | 環境に依存(無線接続) | ||
利用範囲 | ケーブル長に依存 | 広範囲(数十メートル) | ||
電力供給 | 最大100W | 最大240W | 対応なし | |
特徴 | 高速で安定した接続を提供 | Thunderbolt 3互換 | 大容量データ転送に特化 | 高速かつ多デバイス接続可能 |
Wi-Fi 7との比較ポイント
Thunderboltの強み:安定した高速通信、有線ならではの低遅延、大容量データの転送に強い。
ケーブル長に制限があるが、特定用途(プロフェッショナル作業)に最適。
Wi-Fi 7の強み:無線の利便性、広範囲の接続、多数デバイスの同時接続が可能。
理論上の最大速度ではThunderbolt 3や4を超えるが、実効速度や安定性では有線に劣る場合が多い。
そもそも職場や家庭のネット環境を改善しないと恩恵が受けられない話です。
ということで、今までの職場と家庭のISPを見直すことにします。
次回ISPと10G環境の構築を取り上げていきます。
ちなみに、現在フレッツ光OCNギガプランとかそんな名前だったのを、光クロスにかえ、ISPも検討します。
そうなると、ルーターやハブ、LANケーブル、無線LANの設備投資と設定や管理と色々考えないといけなくなりますね。春までには変えられるかどうか。